Chateau Haut Tropchaud

1981年にシャトーを訪問した時、所有者である当時79歳だったイヴ・マチアス(Yves Mathias)は手作業でぶどう園の除草をしていた.小さな応接間で試飲させて戴いた、ここのワインは静かで落ち看いた雰囲気の中で試飲する必要がある.非常に濃い色で味は濃厚であり、強烈な個性を持ったワインである。一部のぶどう株は百年余りも経ているが、生産量は少ない.イヴ・マチアスは肥料は使わない。非常に熟した状態のぶどうはそのまま、つまり除梗をしないで発酵槽へ入れられる。15日以上続けられる発酵の後、圧搾を行い、再度ワインを槽へ戻す.熟成期間は1年半から2年と長期にわたる。イヴ・マチアスのワインがどんなものであるか前以てわかっていても、試飲毎にぴっくりさせられるワインである。このワインと同じくらい、こくがあり、強力でしかも果実味のあるワインは希である.イヴ・マチアスはいつも非常に少量しかワインを造らないため、販売量は非常に限定されている。「ペトリュス2本とだって、自分のワイン1本を交換する気になれない」と彼は語っている
LE GEAND BERNAD DES VINS DE FRANCE POMEROL



イヴ・マチアス時代のエチケット。
今ではこのエチケットのオー・トロショーを捜し出すのは不可能に近い







シャトー・オー・トロショーの畑。写っている人物はミッシェル・クドロワの息子。右後ろに見えるのがシャトー・ル・パンの館。

その後、1987年イヴ・マチアス氏は死去し、ミッシェル・クドロワ氏(ラランド・ド・ポムロールにシャトー・ラ・フォリー・メゾン・ヌーヴとモンターニュ・サンテミリオンにシャトー・メゾン・ヌーヴを所有)がこのシャトーを買収した。彼は以前からのシャトー・オー・トロショーのファンであった。ラベルも以前のもとは変わりボムロールに夢中であった頃の私は彼にイヴ・マチアス時代のオー・トロショーを分けてくれるように頼んだが、イヴ・マチアスが孤独な死を遂げた後、盗賊がワインを持ち去ったのことであった。ミッシェル・クドロワ氏自身もその時代のワインを数ケースしか持っていないにもかかわらず、虎の子である1979年と1980年を各1本づついただいた.現在シャトーは無人で窓ガラスは石が投げられて割れたままになっている.ワイン造りはシャトー・メゾン・ヌーヴで行われ、ペトリュスと同じセメント製の発酵槽が使われている.新樽使用率は50%。(現在は100%使用)
M.Pomerol
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